Legal Information

トレントの発信者情報開示請求について

当事務所では、著作権者など権利者の依頼に基づき発信者情報開示請求を行っております。以下に、トレント問題に関し、当事務所が代理人として行った発信者情報開示請求を受けた方から当事務所に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。

すでに弁護士に依頼済みの方へ: 本件について弁護士に依頼済みの場合は、本ページの内容にかかわらず、ご依頼中の弁護士にご相談ください。以後のやり取りは、ご依頼中の弁護士と当事務所との間で行います。

和解交渉について

Q:弁護士に依頼しないで自分で交渉することはできますか?

A:可能です。お気軽にご連絡ください。

Q:自分で交渉する場合、必ず電話をしないといけませんか?メールなどだけで解決できませんか?

A:メールなどだけで解決することも可能です。お気軽にメールください。

Q:弁護士に依頼したほうがいいですか?

A:依頼の要否はご自身でご判断ください。日本弁護士連合会や各地の弁護士会の法律相談窓口もご利用いただけます。

Q:弁護士に依頼する前に、自分で交渉してもいいですか?

A:ご自身で交渉した後、弁護士に依頼することは問題ありません。

Q:弁護士に依頼した後に、自分で交渉できますか?

A:弁護士に依頼した後は、弁護士を通じて交渉してください。

和解に関する質問

Q:たくさんの作品をダウンロードしてしまいました。損害額が大きくなると思いますが、和解できるでしょうか?

A:複数作品が対象となる場合でも、当該権利者のすべての作品について一括して和解することが可能です。詳細についてはお問い合わせください。

Q:損害賠償請求の裁判を提起されました。裁判開始前に和解できますか?

A:弁護士に依頼済みの方は、ご依頼中の弁護士を通じて和解の交渉を行ってください。弁護士に依頼していない方は、直接ご連絡ください。

Q:弁護士に依頼しましたが、和解できません。どうしたらよいでしょうか?

A:ご依頼中の弁護士にご相談ください。

損害額に関する質問

Q:知財高裁の判決では、損害額は1万〜3万円程度に収まると聞きました。私の場合もその程度で済みますか?

A:そのような理解は正確ではありません。知的財産高等裁判所令和4年4月20日判決(令和3年(ネ)第10074号)が示したのは損害額の算定の枠組み(ダウンロード1回ごとの販売機会の喪失を基礎とする算定方法)であり、特定の金額の相場を示したものではありません。同事案の認容額は、対象作品が通常版980円・HD版1270円のダウンロード販売作品であったという当該事案の事情を前提とした計算結果です。損害額は、作品の販売価格、作品の人気に応じたダウンロード数、共有期間の長さ、対象作品数によって大きく異なり、これに開示手続等の費用が別途加わります。具体的な金額は事案ごとに算定しますので、お問い合わせください。

Q:ダウンロードしただけで、自分はほとんどアップロードしていないと思います。それでも損害額は大きくなりますか?

A:BitTorrentは、ダウンロードと同時に取得したデータを他の利用者に送信する仕組みであり、前記知財高裁判決は、ネットワーク参加者がピースを相互に送受信し合う関係にあることから、民法719条1項の共同不法行為の成立を認めています。この構成の下では、責任の範囲は自ら直接送信した分に限られず、参加期間中のネットワーク全体のダウンロードにより生じた損害に及びうるため、ご自身の送信量が少ないという事情のみで損害額が小さくなるとは限りません。

Q:損害額はどのように決まりますか?

A:「損害額の算定について」の項をご覧ください。侵害本体の損害額(販売価格とダウンロード数に基づく算定)に、発信者情報開示手続に要した弁護士費用・実費および技術的解析費用を加えたものが基本となります。個別の算定内容については、お問い合わせいただければご説明します。

支払い方法について

Q:お金がないので、分割で支払いたいです。可能ですか?

A:可能です。お気軽にご相談ください。

通知・開示請求に関する質問

Q:トレントの開示請求を受けました。架空請求ではないか心配です。

A:架空請求かどうか確認しますので、ご連絡ください。架空請求の場合は、その旨お伝えします。

Q:プロバイダーから通知を受けましたが、どの法律事務所からの通知かはわかりません。権利者の名前はわかります。対応いただけますか?

A:当事務所の依頼者かどうか確認させていただきます。お気軽にご連絡ください。

Q:発信者情報開示請求を受けましたが、身に覚えがありません。

A:ご家族や同居者などが回線を利用しているケースが多くあります。まずはご確認のうえ、ご連絡ください。

民事手続の流れ

BitTorrent案件の民事手続は、おおむね次の順序で進みます。

1. 発信者情報開示:プロバイダへの開示請求により回線契約者の氏名・住所が特定されます(6か月〜1年程度)。

2. 通知・交渉:権利者代理人から回線契約者宛に通知書が送付され、話し合いによる解決が可能な段階です(1〜6か月程度)。

3. 民事訴訟:交渉で解決に至らない場合、損害賠償請求訴訟が提起されることがあります(第一審で1〜2年程度)。

損害額の算定について

BitTorrent利用者の損害賠償責任に関するリーディングケースである知的財産高等裁判所令和4年4月20日判決(令和3年(ネ)第10074号)は、損害額の算定について次のとおり判断しています。

(1) 算定の基礎——ダウンロード1回ごとの販売機会の喪失

同判決は、ファイルが1回ダウンロードされるごとに、著作権者は当該著作物を1回ダウンロード・ストリーミング販売する機会を失ったということができるから、その販売価格(同事案では通常版980円、HD版1270円)を基礎に損害を算定するのが相当であると判示しました。

(2) 1回あたりの損害額

同事案では、販売サイトを通じた販売における権利者の売上割合を販売価格に乗じ、ファイルが1回ダウンロードされる都度、権利者に損害が生じたと認定されています。

(3) 共同不法行為——ネットワーク参加者の連帯責任

同判決は、BitTorrentネットワークの参加者がピースを相互に送受信し合うことでファイル共有を実現している関係にあることから、民法719条1項の共同不法行為の成立を認めました。この構成の下では、各参加者は、自らが直接送信した分に限らず、ネットワークに参加していた期間中のダウンロードにより生じた損害について、他の参加者と連帯して責任を負いうることになります。

したがって、1回あたりの損害額に、共有期間中のダウンロード数を乗じたものが侵害本体の損害額となり、その額は、作品の販売価格、共有の期間・態様およびネットワークの規模により、事案ごとに算定されます。

なお、同判決の事案における認容額をもって、損害額が一律に少額にとどまるという理解は正確ではありません。同判決が示したのは算定の枠組みであり、金額は、作品の販売価格(同事案は通常版980円・HD版1270円のダウンロード販売作品でした)、作品の人気に応じたダウンロード数、共有期間の長さ、対象作品数によって大きく異なります。また、共同不法行為の構成により、責任の範囲は自ら直接送信した分に限られず、参加期間中のネットワーク全体のダウンロードに及びうるため、共有期間が長い場合や人気作品の場合には、損害額は相応に大きくなります。これに加えて、次項の開示手続等の費用が別途損害に含まれます。

発信者情報開示手続等の費用について

匿名のネットワーク上の権利侵害においては、発信者情報の開示を得なければ、加害者を特定して損害賠償請求権を行使することができません。このことから、裁判例には、発信者情報開示手続に要した弁護士費用等について、加害者に対する損害賠償請求のために必要不可欠の費用であり、特段の事情のない限りその全額が不法行為と相当因果関係のある損害に当たると判断したものが複数あります(東京高等裁判所令和2年1月23日判決。同旨、東京高等裁判所令和3年5月26日判決ほか)。

このため、発信者情報開示手続に要した弁護士費用・実費および監視記録の技術的解析費用(発信者の特定と損害の立証に必要な費用)は、前記の侵害本体の損害額とは別に、請求の対象となる場合があります。

なお、訴訟となった場合には、これらに加え、遅延損害金(法定利率年3%)、弁護士費用相当額(実務上、認容額の1割程度)および訴訟追行のための調査・解析費用が加算されることがあります。

訴訟となった場合の手続について

訴訟に至った場合、被告となった方には次の対応が必要となります。

訴状受領後、期限内(原則30日以内)の答弁書提出。提出しない場合、主張を認めたものと扱われることがあります(擬制自白)。

口頭弁論・準備書面のやり取り(月1回程度、複数期日)。

証拠調べの段階では、本人尋問が公開の法廷で行われることがあります。

交渉段階での解決と比較すると、訴訟は解決までの期間(1〜2年以上)と費用(遅延損害金・弁護士費用相当額の加算、応訴のための弁護士費用)の負担が大きくなります。

お問い合わせ

電話:050-5846-7249(平日 10:00〜18:30)

メール:[email protected]

LINE・Web受付窓口(和解アンケート)もご利用いただけます。


本ページは、民事上の手続に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に関する法的助言を構成するものではありません。

第一東京弁護士会所属 弁護士法人ITJ法律事務所

代表社員 戸田 泉(第一東京弁護士会)